カバンにしまえて、移動したいときに膨らませて乗ることができる自分だけの移動手段。「未来社会で移動の自由度を高めたい。」「多様な人々が文化・経済的活動に関わっていけるインクルーシブな社会に貢献したい。」そんな思いを乗せて開発されたのが次世代モビリティpoimoです。

 その活動は日経MJ、MONOist、テレビ東京等、各メディアへ取り上げていただいております。さらに2020年10月開催の国際会議「UIST 2020」にて論文「poimo: Portable and Inflatable Mobility Devices Customizable for Personal Physical Characteristics」が採択されたことを受け、更なる盛り上がりをみせています。この記事ではpoimoの躍進と近況についてお届けいたします。

 mercari R4Dと東京大学JST ERATO川原万有情報網プロジェクトとの共同研究により開発されたpoimoは、研究と社会が結びつくことで誕生しました。いくつもの研究を応用し、より環境に溶け込むデザインを追求することで社会実装、実用化されていく。本研究での成果がpoimoの実用化とともに、研究と社会を繋ぐプロセス作りの一助になることを期待しています。

 「UIST 2020」はユーザ・インタフェース技術などを扱う研究分野であるヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI: human-computer interaction)の国際会議です。近年、HCIやロボティクスの分野ではインフレータブル構造(空気圧により膨らむ風船構造)の研究が進んでいます。poimoは以下の2点が大きく評価されました。
・従来硬質な素材で構成されていた車輪などの主要部品を風船構造で製作する手法
・ユーザーが乗るポーズをとるだけで自分の身長や姿勢に合わせた形をカスタマイズできる設計手法
これにより、軽くて柔らかく空気を抜いて折りたたむことができる構造、生活スタイルや社会の変容に伴う個人に合わせたカスタマイズが可能になりました。

 今後も実用化と普及に邁進すべく、継続して軽量化や操作性の向上、安全性の評価に取り組んでいきます。誰もが自分に合った移動手段を獲得できるインクルーシブな社会の実現。poimoは、類例ないパーソナルモビリティとして新分野を開拓していきます。

RIISE|Update: 2020.10.13